2024年6月14日(金)18:00~
ミュージカル「鉄鼠の檻」の初日を拝見しましたので簡単にご報告します。
原作は文庫本で1,300ページ超、しかも難解。
いったい何時間の作品になるのかと思いましたが…
3時間以内に収まっていました!
あらすじ(公式サイトからの転載)
昭和28年初春。古物商の今川雅澄は、明慧寺の僧侶、小坂了稔から依頼を受け、箱根山中の仙石楼に投宿する。逗留していた医師、久遠寺嘉親と碁を打つ日々を送りつつ、了稔からの続報を待つ今川。
しかし、そんな彼の前に突如現れたのは、雪の中で座禅を組んだまま死んでいる了稔の遺体であった。周りに足跡はなく、不可解な現場に旅館は騒然となる。
一方、時を同じくして箱根を訪れていた憑物落としの古本屋、京極堂こと中禅寺秋彦と、その友人で作家の関口巽も事件に巻き込まれてしまう。更に、県警の捜査に業を煮やした久遠寺が、探偵の榎木津礼二郎を呼んでしまったことにより、榎木津も事件に関わることに。
やがて一行は、僧侶が次々と殺される箱根山連続僧侶殺害事件に飛び込んでいくこととなるのだった――。
畠中さん演じる「仁秀」は事件の中心となる明慧寺の近くに住む老人です。
1幕はほとんど登場しないし、出てきても気配を感じさせません。
しかし!2幕後半には一気に大活躍(と言っていいのかどうかはともかく)しますのでご注目ください。 歌声も素晴らしいです。
また、1幕最初の歌い出しは仁秀です!ワンフレーズですぐ他の人に歌い継いでしまうし、姿も良く見えない状態で声だけ聞こえてくるのでお聞きのがしなく。
台詞も歌詞もとにかく難解な宗教用語が多いので、背景に映し出される字幕の漢字を目で見て耳からの情報を補完してください。
お坊さんたちは下の名前で呼び合っているので、幹部の名前だけなんとか頭に入れてから観劇するといいかもしれません。
<4人の知事たち>
了稔(りょうねん)=小坂了稔/役割:直歳(しっすい)=建設担当
(↑遺体で発見)
慈行(じあん)=和田慈行/役割:知客(しか)=人事総務担当
祐賢(ゆうけん)=中島祐賢/役割:維那(いの)=風紀委員
常信(じょうしん)=桑田常信/役割:典座(てんぞ)=台所担当
「初日のご報告」と言いながら、ネタバレするわけにいかないので情報があまり書けません。
ただ、この「鉄鼠の檻」は「姑獲鳥の夏」から始まった京極堂が活躍するシリーズ第4作目にあたるので、主要人物の人間関係についてだけ少し解説させていただきます。(劇中でほとんど説明がない部分なので)
これはネタバレにはあたりませんので、原作を未読の方は事前情報として参考にしていただければ幸いです。
中善寺秋彦:通称 京極堂
東京で神社と古書店を営むあらゆる分野にスーパーミラクル博識な男。基本が不愛想で毒舌。 「この世には不思議なことなど何もないのだよ」という決め台詞あり。
人が様々な思い込みから身動きが取れなくなっているときに、彼は理路整然とした弁舌で斬りこみ、いわゆる「憑き物落とし」を行い事件を解決する。
関口巽:職業は作家。人見知りで優柔不断ですぐに鬱っぽくなってしまう。事件に巻き込まれやすく状況に翻弄されおろおろするばかり。おかげで彼に対する京極堂の解説が冴えわたって読者の理解が進むという建付けで「語り部」のような役割を担う。
京極堂からは「関口君」 榎木津からは「サル」と呼ばれている。
京極堂とは旧制高校時代の同級生、榎木津は1年先輩。
榎木津礼次郎:探偵。お金持ちの御曹司だが自分で「薔薇十字探偵社」を作り自由に生きている。黙っていれば超美形なのに、天衣無縫で躁病的言動があまりにも素っ頓狂なので周囲をかき乱す。他人とは思考回路が違うが天才的な頭脳と、他人の記憶が映像のように見える特殊能力があり、事件を捜査するのではなく解決か粉砕する。
中善寺敦子:京極堂の妹。「稀譚月報」というミステリ雑誌の編集者。明るく聡明で誰からも好かれる人柄。
久遠寺老人:「姑獲鳥の夏」で事件の現場となった久遠寺医院の元院長。事件後医院をたたみ仙谷楼に居候している。上記4人とはその事件を通してすでに知り合い。榎木津の事件解決能力を評価している。(周囲がいかに彼の言動で迷惑をこうむるかをあまり理解していないせいもある)
※あくまでも発起人個人の見解、おせっかい情報ですので、齟齬がありましたらご容赦ください。
こちらはハタ坊の会有志からお贈りしたお花です。
以前からお願いしているお花屋さんが、作品の時代背景に合わせて和のテイストも取り入れて作ってくださいました。(KateRoseさん)
コロナ以降はお花受け入れ不可の公演ばかりだったのですが、やっぱりこうやってロビーにお花があると華やかでいいですね。
京極夏彦先生からのお花もありました!!
そしてその横に飾ってあった「鉄鼠」のオブジェがシュールです…。
※イッツフォーリーズさんからおまけ情報※
「展示している『鉄鼠』は三井寺からお借りしたもの。袈裟は制作部の手作り」
だそうです。
「三井寺(園城寺)」=滋賀県大津市にある天台寺門宗の総本山