ミュージカル
「シャボン玉とんだ
宇宙(ソラ)までとんだ」
東京公演千穐楽拝見しましたので、簡単にご報告いたします。
2020年2月2日(日) 12:00~
ついに東京公演が終わってしまいました…
あっという間の1ヶ月でした。
何度か公演を拝見した個人的な感想と、千穐楽のカーテンコールのご挨拶の様子も合わせて、ネタバレありのレポートになりますので、福岡、大阪で初めてご覧になる予定の方はご注意ください。
(初日のご報告は こちら)
悠介を演じる井上芳雄さんはオーラをすべて消し去ってあんなにダサいのに(誉め言葉です)、悠介が示す佳代への大きな無償の愛と勇気…誰よりもカッコよく見えました。 台詞のように歌いながら、心を伝えて聞かせる歌唱力に感動です!
そして咲妃みゆさんの「お佳代」に毎回心を持って行かれた私です。
彼女が悠介をどれほど愛しているか、彼の存在がどれほど大切かということが、まっ直ぐすぎて恥ずかしいぐらいに伝わってきます。
2幕冒頭の引っ越しのシーンの弾ける喜びは、二人の馬鹿ップルぶりがひたすらかわいくて、観ているだけで幸せな気持ちに満たされました。
「宇宙人が登場する」のに荒唐無稽にならず、愛や夢という普遍的なテーマがこんなにストレートに伝わってくる作品はなかなか出会えないと思いました。
客席に座っているときは、ただただ作品の世界に浸って感動しているのですが、劇場を出て色々思い返すと、物語の構成が本当によくできているなあ、と感心してしまうのです。
ベタなギャグでもすべらずあれだけ笑ってしまうのは、キーワードがきちんと前振りされ、ほんのちょっとした言い回し、掛け合いの間がしっかり練り上げられているからこそです。
初デートでの失敗、マスターや常連客との会話、無駄なものが全くありません。
劇中に何度も披露され、毎回笑ってしまうラス星人たちの「ブレンド」ポーズも、ラストに大きな意味をもってきます。
こういう言い方はこの作品の感動に相応しくないかも知れませんが、いわゆる「ネタの回収」が見事すぎます!
最近の海外ミュージカルでは、楽曲が素晴らしい=難曲 という傾向を感じていたので、この作品の楽曲のメロディが持つ優しさは貴重ですし、 「ドリーム」も「守ってブレンド」も「いつの日にか」も、日本語で書かれた歌詞がそのまま伝わるってこんなに大切なことだったんだと改めて気づかされました。
千穐楽カーテンコールの様子を、走り書きした自分のメモを元に書いてみました。
皆さん当然ながら共演者、スタッフ、観客への感謝の言葉から始まっていますが、ちょっとそこはメモ取れてないので省略します。
不完全なメモから起こした不正確な文章ですから、「そんなニュアンスだった」として読んででいただければ幸いです。
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まず出演者全員で歌いつなぐ「ドリーム」が終わり、井上さんが「いつもはここでバンドを紹介するんですけど、今日は降りてきてもらいましょう!」と呼びかけ(どうやら舞台袖の2階部分?あたりにいらっしゃるらしく、いつもは楽器の音だけで紹介に応えていました)、バンドの皆さんが初めて舞台上に!
その後、もう一人のメンバーとして月影瞳さんを紹介。月影さんはほぼ毎日影コーラスで参加されていたとのこと。
井上さん「何か一言どうですか?あ、マイクがないのか」
月影さん(マイクなしなので大きな声で元気よく)「一生懸命頑張ります!」
そのまま井上さんの進行で前列のキャストから一言ずつご挨拶をすることに。
前列の並び順は向かって左の下手側から 仙名さん・濱田さん・吉野さん・咲妃さん・井上さん・土居さん・畠中さん・内藤さん・上原さん。 ご挨拶は上手と下手交互に。
上原理央さん
かなり言いよどんだ後で「期せずしてトップバッターになってしまって…しゃべりは苦手なんで…」と前置きをしてから、「本日はご来場いただきありがとうございました。怪我も病気もなく今日を迎えられて安堵しております。」あの低く響く声で妙に暗い…ではなく落ち着いたトーンでぼそぼそとご挨拶。
(思わず井上さんが「このトーンはなに?なんか深夜ラジオ聞いてるみたいなんだけど」と突っ込む。)
舞台で毎日泣いていた。この作品に出演できて本当にうれしい。今まで感じたことのない繋がりやぬくもりを感じる毎日だった。
(ここで再び「心が落ち着くラジオですねー」と井上さんのチャチャが入る。)
仙名彩世さん
初日にもご紹介いただきましたが、宝塚を退団して初めての舞台出演。毎日何が起こるかわからない舞台で本当にハラハラしながら演じた。(おそらく自由すぎる三婆を指している?)この作品が初舞台で幸せだった。
内藤大希さん
ミラ役の内藤大希です。僕は1988年に母から生まれました。(井上さんから「普通はそうだよ!ここにいる人みんな母から生まれてるから」と突っ込まれる)
この作品と同じ32歳のブレンドです。
濱田めぐみさん
毎日笑い転げていた。楽屋で笑い、舞台で笑い、帰りの車の中で思い出して笑い、全身を使ってポジティブに過ごした毎日だった。
人間じゃない役が多いと言われるけど、今回の春江が私の地。でも本質はウメ。
畠中さん
32年前に音楽座に入って最初に出会ったのがこの作品。川口君が演じた二人の息子の役だった。 その後ミラをやって、悠介もやらせてもらった。 初めて台本を読んだ時にハンマーで殴られたような衝撃を受けた。この作品がデビュー作で役者として歩き出し、時を経てまたこの舞台に立てていることが本当に幸せ。
こんなに愛のあるカンパニーは他にない。東京は終わってしまったけれど、福岡、大阪と続くので、まだ舞台に立てることが幸せで仕方ない。 今日皆さんと共有できた感動をこれからも届けたい。
吉野圭吾さん
28年前ビデオでこの作品を見て、「これがやりたい!」と20歳で音楽座に入って、ゼスをやった。畠中さんが旅公演で抜けたときにミラをやったり。28年経ってまたこの作品にかかわれてうれしい。
土居裕子さん
30年も前の作品がこの令和に上演され、皆さんから温かい拍手をいただけることに感動している。最初にこの作品を世に出すために奔走してくれた相川レイ子オーナーに感謝の気持ちを改めて伝えたい。
1ヶ月何度も通ってくれた方、今日が初めての方、30年前に見ている方、皆さんの心に小さな灯をともせたと思う。
この作品を上演してくれた東宝の方、ありがとうございました。
咲妃みゆさん
自分には不足していることだらけでお稽古がスタートし、それでも少しずつでも役に近づけると、カンパニーの皆さんが信じて支えてくれた。 本来は舞台は楽しむものだけど、私にとっては挑戦の毎日だった。でもこの作品に出演して佳代として生きられたことは、一役者としての宝物。これからも気を緩めず最後までしっかり務めたい。(途中何度も涙で言葉が詰まり、井上さんに励まされる。)
井上芳雄さん
全員が無事今日を迎えられて本当によかった。
ここで「そうだ!福井さんが今日見てるはず」と客席に向かって呼びかける。上がってもらっちゃおうか?と言いながら「福井さんってそういうのどうなのかな?」と周囲の人に聞いたりしているうちに、一番後ろの列から福井さんが嬉しそうに走って出てきて舞台上に引っ張り上げられました。これで本当にキャスト全員が揃いました!
この作品はさっき紹介したバンドメンバーも含め、カンパニーみんなの愛と協力があって成立している。 迷路のシーンのパネルもみんなで動かしている。あれは本当に大変なのに顔も見えない。
「パネル動かしている人、手を挙げて!」と号令をかけると、なんと後列に並んでいた全員(北川さん、大月さん、川口さん、横田さん、松田さん、早川さん、松野さん、相川さん、藤崎さん、井上さん、照井さん)、そしてミラ役内藤さん!(まさか源兵衛さんまでパネルを動かしていたとは!)
自分が子供の頃にこの作品に出会って、ずっとやりたいと思っていた役を演じながら、自分はどこかこの悠介という人を目標にしてきたんじゃないかと思った。 悠介に生き方を教わった気がする。(「別に地球上の人がすべて僕みたいになればいいと言っているわけじゃないですよ?」と会場の笑いを取りつ)そんな作品て本当にすごい。 もっとこの作品をやりたい。
どなたのご挨拶からも、この作品に出演した喜びがひしひしと伝わってきました。
そして、畠中さんのご挨拶、素晴らしかったです!
いつもだと「トークは苦手で」とちょっと照れながらご挨拶…という感じですが、この日はなんと言うか「作品に対する愛と誇りと責任感」のようなものがにじみ出ていました。
感情の昂ぶりを抑えるように、一言一言ゆっくりと丁寧に、淀みなくお話しされている姿にじーーーーん。
私は残念ながらミラや悠介だった畠中さんを拝見しておりませんが、今回テムキを演じる畠中さんの中に、ミラも悠介もいるんだなあ、という感覚になりました。
悠介と佳代、ミラとオリー、彼らを見守っていたテムキとピア…命ある一瞬のことではなく、壮大な宇宙の中で「すべて繋がっている」と思えるラストシーンだったからだと思います。
井上さんもおっしゃっていましたが、ぜひこの作品は外部でも上演し続けて欲しいと思いました。
「この作品に出演したことがある」という人、「この作品を見たことがある」という人をもっともっと増やしていって欲しいです。
福岡、大阪公演も素晴らしい舞台になりますように!
東京千穐楽を終えた畠中さんのツイート
昨日、無事に「シャボン玉とんだ宇宙までとんだ」東京千穐楽を迎える事が出来ました。まだ福岡&大阪公演が残ってますが、とりあえず一区切り。稽古期間を含め、幸せな毎日だったなぁ。福岡も大阪も、心を込めて、そして何より楽しんで参ります!開演前のセレモニー&終演後の楽屋前にて。 pic.twitter.com/9BaXoY6GPW
— 畠中洋 (@hatabo0109) February 2, 2020
【おまけ画像】
開演前はエレベーター横にいるクリエちゃん、終演時にはロビーに移動しています。