ミュージカル「結婚行進曲」は、公演終了いたしました。キャスト・スタッフと新作を作り上げてきた2か月間。ミュージカル・コメディの面白さと難しさに、みんなで挑戦した日々でした。皆様、ご観劇、応援、誠にありがとうございました! また逢う日まで!! pic.twitter.com/Gc95VE6HsU
— (公式)ミュージカル「結婚行進曲」 (@a_wedding_march) 2017年9月18日
2017年9月18日(月・祝) 台風一過のぴかぴかの青空の下、
畠中さん主演の「結婚行進曲」は全6公演、大盛況のうちに
幕を下しました!
畠中さん、本当にお疲れ様でした!
遅くなりましたが、「結婚行進曲」について、初日よりもうちょっと詳しくご報告します。
畠中さんからのPhotoMessageと合わせてお読みいただければ幸いです。
公式ツイッターアカウントが流してくださったお稽古場通信のおかげで、畠中さんは舞台上に出ずっぱりで歌もダンスもたくさん
!…ということはわかっていましたし、いろいろ想像して期待が高まっていました。
しかし、その想像していたレベルをはるかに超えるご活躍でした!
上演時間の90%は舞台上にいらっしゃったような…
なので、畠中さんのことを書こうと思うとほぼあらすじになってしまいます。(笑) 楽しいエピソードを一つ一つ紹介することはでき ませんが、以下完全ネタバレですので、ご注意ください。(パンフレットのあらすじも思いっきりネタバレで書いてあるので、これも OKと判断します)
まず幕が開くと、舞台のセンターに畠中さんが立っています。
日本人の生涯未婚率がいまや4人に1人になっていると問題提起し、客席に背を向けて座っている登場人物たち一人一人 に、さあみんな結婚しよう!愛を見つけよう!と、絡みながら歌い踊ります。
帽子をかぶってステッキ使ったり、総踊りのセンターでラインダンスもどきを披露したり、本当にもう歌いまくり踊りまくり。宝塚トップか!というようなオープニングでした! (この時点ですでに嬉しくて茫然。)
舞台はそのまま2階の「小田島結婚相談所」のオフィスに移ります。(さっきまで1階にいたはずの畠中さんも即登場!)
この日はお見合いが設定されている会員4組が来社。結婚コンサルタントでもある所長の小田島(畠中さん)は、にこやかに 各組のテーブルを回りながらお見合いを取り仕切っていきます。
そして、結婚相談所オリジナルパンフレットを配り、その中に提唱してある
「結婚10の喜び」を読み上げ(歌い上げ)ます。
この歌は今回のテーマソングのようなもので、結婚によって得られる喜び、その1からその10までを2つずつお芝居の進行ととも に紹介していく形式です。
耳に馴染むブンチャッチャ ブンチャッチャという3拍子に乗せ、
♪結婚10~の よ~ろこび~ そのイ~チは~♪と始まり、ひと つ終わると
♪リピ~ト アフタ~ ミ~ィッ!♪
と小田島が満面の笑顔で呼びかけ、全員が声を揃えて歌います。
これがラストまでの間に10回繰り返されるので、完全にこのメロディと畠中さんの
♪リピ~ト アフタ~ ミ~ィッ!♪が刷り込まれ、頭の中をぐるぐる回ることになります。(一週間経ってもまだ私の頭の中で鳴ってます)
その1~4は、家に帰ると愛する家族が迎えてくれる⇒食事を作ってくれている⇒子供が生まれる⇒立派に成長していく姿が見られる…というなかなかベタなもので、今の時代これはどうかなあ、と最初は感じたのですが、このごく単純化された「結婚の
幸せ」を求めているとも似合うとも思えない「結婚したい男女」の珍エピソードの数々!さらに小田島家では締め切りを抱えた漫画家の妻が家族に当たり散らしてカオスとなっている現状とのギャップが、笑いへの仕掛けになっているんだと思いました。
街を行く男女に「なぜ結婚しないのか」をインタビューする畠中さん。(ここは小田島としてのシーンというよりは、世相を見せるためのシーン)
男女はそれぞれ「自由がなくなるから」「お金がないから」「めんどうだから」などと答えます。
その男女のバトルダンスに巻き込まれながら、ここでもダンスダンスの畠中さんでした。
相談所を訪れる男女は、一見普通でも(普通じゃない人もいましたが)中身は個性的というよりかなり変人揃い。でもそこに 妙にリアルな存在感があり、時事ネタやパロディをうまーく盛り込んだ台詞の面白さでも笑わせます。それぞれのキャラが立って いるので、登場人物は多くても関係性が非常にわかりやすいです。
結婚相談所主催のお見合いパーティーは大盛り上がりで、小田島のコーディネイトのうまさもありカップルが4組誕生しました 。
結婚に向かって進み始めたカップルを前に歌われる「結婚10の喜び」その5、その6では、結婚は喜びや苦しみを分かちあうこと、責任を持った人間に成長すること、という考えさせられる内容になっていきます。
一方小田島家では、夫の浮気が原因で家出した花美の母が滞在することになります。(さすが元宝塚男役トップの瀬戸内さん。こてこてに強烈な関西のおばちゃんなのに、お美しい!)
このとき、義母と花美から浮気を疑われ攻め立てられる小田島の情けない受け身一方な感じが新鮮です!これを「等身大」と言ったら畠中さんに失礼になるかもですが、ヒーローの要素が全然ないリアルな中年男性という意味での「等身大の役」を演じる畠中さんだからこその面白さなのです。
さらに夢には結婚相談所を訪れた女性達が総出演し、小田島を誘惑します。
「実は先生が好きだったんです」などと告白さ れ、「えーそうだったんだ!」と鼻の下を伸ばしたり、迫られてビビったり。
そこに義母と花美も現れ、「浮気現場発見!」とナイフで刺され…たところで目が覚めます。
そして「結婚なんてするもんじゃないな」と、結婚コンサルタントとしてあるまじき発言をします。(でもここからソロで結婚のデメリットを歌い上げる不機嫌モードの畠中さんがかっこいい!)
そして舞台はハワイへ!結婚相談所の一大イベント、ハワイお見合いツアーには、義母も花美も子供達もついてきて、小田島家の家族旅行まで兼ねることに。
ハワイで花美は学生時代の友人キャロルと10年ぶりに再会し、キャロルを題材にした漫画で賞を取り今日に至っていることを 報告しながら、小田島や子供たちを紹介します。
花美の夢は漫画家になることと、自分の家族を持つことだったので、この二人が私の夢をかなえてくれたのね、とはしゃいでいました。
義母は自分は独身と偽って、熟女好きのイケメンと夜の海のボート遊びでで行方不明になりかけたり(ボートの上では「僕たちまるでラプンツェルみたいですね」という台詞が!BGMも何やらラプンツェル風。 ハマナカさん、アテ書きとはいえ、ナイスすぎます!)、お見合いツアーのお客がおぼれたり、トラブルもありましたが、小田島と花美は、久しぶりに仲良く、ハワイのダンスパーティーで踊ります。
ここで花美に異変が…初日のご報告にはネタバレとなるため書けませんでしたが、踊っている最中に花美が突然倒れ、医者の診断は脳腫瘍。緊急手術をすることになりました。完全なコメディのつもりで見ていたら思いがけない展開です。
しかし、病院のベッドに横たわる花美と、彼女を案じる小田島の会話にはお互いへの思いやりがあふれていて、一気にもらい泣きモードになります。(実際、客席内には泣いている方多数)
この時の畠中さんの全身からにじみ出ている深い愛情あふれる優しさのオーラは、本当に本当に素晴らしいものでした。
花美は子供たち一人ひとりに声をかけ、兄妹助け合ってしっかりやっていきなさい、と伝えます。
そして小田島に「あなたがいつも話していた”結婚10の喜び”が大好きだった。言ってみて」と頼みます。
花美の手を握って目を見つめながら囁くように愛をこめて歌う「結婚10の喜び」その7と8…年をとって病気になっても助けてくれる人がいること、二人に沢山の楽しい思い出が残っていること…その歌の途中で、花美は亡くなりました。
3人の子供を抱きしめながら悲しみに耐える小田島の姿の痛々しさがたまりません。
そこから、花美のことを想う小田島のソロにウエディングドレス姿の花美が加わり(きっとこれは小田島の思い出の中にいる結婚式の日の花美なんでしょうね)、お互いの愛は永遠であると美しいデュエットで歌い上げました。 水野貴以さんと畠中さんのハーモニーの美しさときたら!耳福です。
お葬式では、花美が友人のキャロルの生活を助けるためにずっと仕送りをしていたことがわかったり、花美の漫画を読んで立ち直った女性が訪ねてきたりと、小田島の知らなかった妻の姿も浮かび上がります。
自分の結婚生活は突然終わりを告げてしまった小田島ですが、これからも結婚を人に勧めたいですか?とアシスタントの高田に聞かれると、万感の思いを込めて「ああ、勧めたいね」とはっきりと答えました。
そしてフィナーレは結婚相談所で生まれたカップルたちの結婚式!
華やかに7組のカップル(※後述)が白いウエディングドレスとタキシードで現れます。
カーテンコールでは全員に迎えられて最後に登場する畠中さんにまたも胸が熱くなりました。
ここで、「結婚10の喜び」最後の9と10を 歌います。
死んだあとも憶えてくれている人がいること、自分の遺志を伝えてくれる人がいること… ♪リピ~ト アフタ~ ミ~ィッ!♪
最初はちょっと「え~?」と思ったこの歌がまさかこんなに沁みてくるとは!やられました。(しかも千穐楽では、ここで感極まったように畠中さんの目にうっすらと涙が!)
まさに座長として輝いていた畠中さん、お疲れ様でした!
<おまけ>
あらすじには盛り込めなかったものの楽しかったシーンの筆頭は、小田島家でのオーディション特訓シーンです!
花美が子供たちにミュージカルのオーディションの特訓をしていたところに会社から帰ってきた小田島も巻き込まれ、ミュージカル「サニー」の課題曲「トゥデイ」の歌稽古をします。
ミュージカルファンなら「アニー」の「トゥモロー」のパロディであることはわかるので、大笑いです。
しかもこの「トゥデイ」の曲と歌詞が秀逸!メロディラインには本家「アニー」の「トゥモロー」のテイストが盛り込まれているし、
♪Today 今日は新しい日 昨日と違う朝♪
♪Today 今日は 素晴らしい日 願いが叶う朝♪
♪君に与えられたのは昨日でも明日でもない♪
♪Today Today 今日という日~…♪
という(記憶あいまいですが)歌詞には本家をしのぐ説得力があるんじゃないかと思ってしまいます。
子役3人が一人ずつ歌いながら「笑顔が足りない!」「声が小さい!」「滑舌が悪い!」と花美に指導されるんですが、絶妙なうまさでした。
しぶしぶ歌う畠中さんの面白さ、そして歌稽古をリードする水野さんの歌声の素晴らしさ!(さすが元アニー!)
笑っていたはずなのにうっかり聞き惚れてしまいましたよ。これ、シングルリリースしませんか?
もうひとつは小田島家のお隣の横山さんご夫妻。
小田島家が花美の癇癪や子供の大騒ぎでカオスになると…
「いったいどうしたって言うんですか!」と飛び込んでくる⇒すかさず子供たちがおもちゃのマシンガンで「バババババババッ」と二人を撃つ⇒二人は銃弾を浴びてが悶絶・転倒⇒小田島が「しっかりしてください」と呆れたように声をかける⇒起き上がると「寝たきりのばあさんがいるんだからうるさくしないでくださいよ!」と注意する⇒小田島が「はいはい、わかりましたから」といい加減にあしらって追い返す
…というパターンが4回ほど出てきます。
これはドリフかサザエさんか?というようなあらすじには全く絡まないコントのワンシーンのような感じなのですが…同じパターンの繰り返しによってどんどん面白さがUPするのです。 しかも場面転換のきっかけというかスパイスとして生かされていました。
※最後に、結婚にこぎつけた7組のカップルを一応ご紹介しておきます。(カップルが出来上がっていく過程の爆笑エピソードの数々は残念ながら割愛します)
①バツ2の銀行員と、生命保険のやり手営業ウーマン
②恋愛経験ゼロの大学生と、娘のお見合いの付き添いだったはずの母親
③ハゲが理由でお見合いで断られ続けた和菓子屋の若旦那と、女子力はないけど相手の外見にとらわれない女子
④専業主夫希望のMの男性と、SMクラブ経営のSの女性
⑤不潔恐怖症だった男性と、バツ1の丸の内のOL
⑥年収45万円の劇作家と、昔パンクロックのバンドでボーカルをやっていたデパート勤務のOL
⑦一緒に紛争地域に行ってくれる女性を探していた国際的ジャーナリストと、プロポーズしてくれない彼に愛想をつかした女性
こうやってただ列記しても面白さが伝わらないのが残念!
本当に一人一人の登場人物について語りたくなる楽しい作品した!
↓千穐楽を終えた畠中さんのツイッターです。
本日、「結婚行進曲」無事に千穐楽を迎える事が出来ました。ご来場頂きました全てのお客様に心から感謝を申し上げます!本当にありがとうございました!
— 畠中洋 (@hatabo0109) 2017年9月18日
そして!支えて頂いた全てのキャスト&スタッフの方々!言葉が見つかりません。ただただ心からの感謝を!ありがとうございました! pic.twitter.com/PcK1lqXCTL
公演終了後、お疲れのところ申し訳なかったのですが、ハタ坊の会のサイト用にお写真をお願いしたら、謎のポーズを取ってくださいました。
劇中で「結婚10の喜び」を歌う時のポーズ…でしょうか?
ハタ坊の会からのお花の写真を持っていただいてます。
どこを切っても畠中さん金太郎あめ状態で、よく響く台詞の声、素敵な歌声、キレキレのダンス、笑いあり、涙あり…何から何まで満喫しました。 畠中さんお疲れ様でした!
こんな素晴らしい作品を作ってくださったミュージカル座さんに、私は一生足を向けて寝られません。
再演、心の底からお待ちしております!