痛快!時代劇ミュージカル
「バクマツ。」
9月16日(月・祝)
台風18号が掛川に上陸し、関東も朝から大暴風雨という…しかし!頑張って劇場にたどり着いた観客と、台風で涙を飲んで自宅待機となった方々のエネルギーも加わり、千穐楽は大盛況のうちに幕を閉じました。
ちょっと遅くなりましたが、ようやくネタバレも解禁ですので簡単にレポートさせていただきます。
脚本・作詞・演出/川本昭彦
振付/平野 亙 殺陣/幸村吉也
作曲・編曲/大倉達則 音楽監督/SINGO
[演奏]
大倉達則(和太鼓) 谷川祐司(津軽三味線) 大山潤一(尺八)
<出演者59名>
櫻木屋甚八 / 大谷美智浩
仕立屋銀次 / 川本昭彦(幸村吉也)
七変化の平次 / 平野 亙
平賀天外 / 福永吉洋
殿様 / 縄田 晋
勝海舟 / 幸村吉也(川本昭彦)
坂本竜馬 / 畠中 洋
桂小五郎 / 今 拓哉
近藤勇 / 井上一馬
土方歳三 / 宮川 浩
陸奥陽之助 / ヨウスケ・クロフォード
池田屋女将 / 武者真由
おりょう / 安間千紘
幾松 / 相沢まき
お菊 / 髙松 舞
冴 / 三辻香織
沖田総司 / 齋藤ヤスカ
藤堂平助 / 伊藤 慧
永倉新八 / 坂本和音
宮部県蔵 / 杉本 崇
邑井孝造 / 押田健史
石垣半次郎 / 吉田 雄
大木信夫朗 / 佐藤 翔
伝令の佐川 / SINGO
長兵衛 / 織田和馬
亀次郎 / 堀内俊哉
偽竜馬・高嶺屋銀之丞 / 高嶺ふぶき
偽沖田総司 / 中村純也
大塚庸介 秋山秀樹 金村 瞳 柴崎咲子 渡辺じゅり 南 彩子
太田達也 大場陽介 堀部佑介 冨田浩児 松岡大貴
相澤祥子 伊藤みさお 井餘田笑子 歌納有里 真田慶子 鈴木富士子 高橋伶奈
滝口恵梨果 竹内真里 月坂日南 永咲友梨 西 利里子 西脇千江子 能條由宇
藤澤知佳 本多加奈 光延真鈴 山中美奈 山本千明 山本千晴
<ぷち・おことわり>
歴史上の人物は坂本「龍馬」ですが、「バクマツ。」パンフレットに合わせて「竜馬」と表記しています。
司馬遼太郎さんの小説『竜馬がゆく』の「坂本竜馬」は、実在の人物「坂本龍馬」と史実をベースに、司馬遼太郎さんが創作した人物です。 そしてこの小説によって、坂本龍馬は有名になったわけです。川本さんがあえて「竜馬」と書いているのは、川本さんがあの役を書くときにベースにあるのは『竜馬がゆく』の竜馬像なのかも知れません。
…と、勝手な想像はともかくとして、作者の意向に沿っての表記ですのでご了承ください。
その他の登場人物名も同様です。
<あらすじざっくり>
長州藩の軍資金とは知らず、薬屋に化けた藩士から五百両騙し取ってしまった仕立屋長兵衛一家(詐欺師一家)。
それによって銀次の親代わりだった長兵衛は新撰組の土方に斬り殺される。
京都の田舎では櫻木屋甚八が「仲裁屋」として人々の人気を集めていた。
もともとは江戸で有名な任侠の親分だったらしいが、今は田舎で周囲の揉め事をその人徳と知恵で仲裁しては手数料をもらいぶらぶらと暮らしていた。その甚八を訪ねた銀次は、自分は殺しは出来ないがせめて土方歳三に一泡吹かせてやることで長兵衛の仇を取りたい、と助力を頼む。
甚八は相手が土方歳三じゃ無理だ、と諦めさせようとするが、長兵衛を親と慕っていた銀次の気持ちに打たれ、昔の仲間を集めた。
そこに、仲裁屋甚八を見込んで仕事を頼みたいと割り込んできたのが勝海舟。
京都焼き討ちを目論む勤王の志士と、新撰組との衝突を仲裁せよ、ただし一滴の血も流さずに…と。
無理難題だが、この仕事が上手くいけば新撰組の土方の裏をかくことにもなり、銀次の望む形の復讐にもなる。
ただのヤクザ者が日本の明日を変える、という勝の言葉に全員がこの仕事を受けることを決意する。
大掛かりな仕掛けのためのメンバー集めのオーディションが始まった。続々と集まる人を見て銀次は驚くが、それこそが甚八の人徳。
そしていよいよ当日。
池田屋では予定通り長州藩士たちの秘密の会合が行われている。そこに甚八が送り込んだ妙な連中が次々と現れ、踏み込んできた新撰組、長州藩士を止めるために女装して紛れ込んだ桂小五郎、同じく様子を見るために紛れ込んだ坂本竜馬が入り乱れ、シリアスと爆笑ドタバタで状況が二転三転四転する池田屋。
何とか「全て余興でございます」と甚八がお開きにしてしまおうとするが、ここで思わぬ裏切りがありまさかの展開に!…そして最後の最後にはさらなる大どんでん返し!
千穐楽後ですからネタバレOKとは思いますが、やはりおおっぴらには書けません。
観劇できなかったのでもう少し詳しく知りたい、という方は⇒こちらをどうぞ。
途中経過と最後のネタバレまで、私の視点からですが書いてあります。
<見どころ・笑いどころ>
全部です。ダンス、殺陣、歌、全てが大迫力で展開され、本当に「痛快!」でした。
軽快な映画のテンポ・面白い仕掛け、落語を見るような生き生きとした市井の人々、レ・ミゼラブルばりの一幕ラストの盛り上がり、そして「川本ワールド」炸裂の爆笑シーン及び観客に伝わらなくても構わないかのような小ネタ(←誉めてます)の数々。
あれだけの登場人物を個性的に動かし、史実を生かしつつここまで笑えるエンターテイメント作品に仕上げた川本さんの手腕に「ブラボー!」です。
ちゃんと全員に個性的な見せ場があり、まさにアテ書き。人数が多いのでとても1回では誰が何をやっているのか見切れませんが、それは「小芝居」などと言うものではなく、全員がそれぞれの役をちゃんと生きているからこそ、色々なことが同時進行しているのは当たり前なんです。
銀次のまさかの裏切り、更にまさかの大どんでん返し。その結末を知ってから見ると、ああ、ここでこんなこともやってたんだ、こんな仕掛けもあったんだ、と新たな発見が次々出てきてリピーターも飽きさせません。
畠中さんの竜馬は、いいところで出てきてはあの響く声でカッコいいことをさらっと言ったり、ガツンと歌声を聴かせてくれたり、見せ場の多い役でした。そのくせ竜馬として一番キメる部分は偽物の竜馬に持って行かれちゃったりするんですが、その時の「ええーー!」っていう口あんぐりな顔や欽ちゃん飛びも最高でした。
カーテンコールは、甚八役の大谷さんが音頭を取って「一本締め」をするのですが、この時の客席まで含めた一体感は本当に楽しかったです。
また、終演後には客席に畠中さんも出てきてくださいって、ファンとの交流もありました。畠中さん、いつもお疲れのところありがとうございました!
これは是非再演して欲しい作品です!
是非皆さんもミュージカル座さんにリクエストを送りましょう~!
おしまい