西ではミュージカル界の若き三人のプリンス達のコンサートが千秋楽を迎えたようですが、表参道「LAPIN ET HALOT」でもそれに負けないイベントが開催されました!
ミュージカル界の(若くはない)三人のプリンス達(と呼ぶのはやや厳しいかも知れない)が、スペシャルゲストと共に繰り広げるホームコメディ音楽劇「お父さんと卵」~行住坐臥II~!
お昼の部に伺いましたのでその簡単なご報告です。
住宅街にある会場は、地下まで降りて行く階段にもしっかりと吸音材が張り巡らされ、かなり防音に気を使っている感じです。
客席は上手と下手のツーブロックで、1列14~5席で8列ぐらい。キャパはだいたい110~120席ぐらいだと思います。
開演10分前のアナウンスは駒田さんの声で「上演時間は休憩なしで1時間20分か30分か40分ぐらいかよくわかりません、役者次第です」とのお断り。
開演5分前には「演出上の都合により、演者がセリフを噛んだり飛ばしたり間違えたりすることがありますが、それはあくまでも演出上の都合によるものです。」と、最近のミュージカル界の最もホットなキーワードとも言える「演出上の都合」を連発。
早くも場内爆笑でした。
<登場人物紹介>
お父さん/幸村さん…一家のお父さん。
シャツにステテコ腹巻き、ハゲづらチョビひげ。娘を亡くし、息子も傷害事件で服役中。
超健康そうに見えるが癌で余命三ヶ月を宣告されている。息子の帰りを待つことができないのは心残りだが、前向きに生きている。登場人物の中ではおそらく一番常識ある人。
役に立たない上に血のつながりもないポエムとエイジをなんだかんだと気にかけている。最後は3人の「息子たち」それぞれにメッセージを残す。
ポエム(ペンネーム)/宮川さん…お父さんの亡くなった娘「ヨシミ」の婿。
勉強も運動もできない小学校時代に、唯一作文を褒められたことからそのまま小説家を目指すがまったく売れない。稼ぎもなく家事も一切できない。妻亡き後も実家に居候中。
老人ホームでのウケがいいところを見込まれ、お父さんの介護を有料で依頼される。
エイジ兄ちゃん/畠中さん…ポエムとは腹違いの兄。
産みの母に捨てられたことがトラウマとなっており、かなりのマザコン。
ポエムをかわいがり甘やかすことで継母(ポエムの実母)の虐待を逃れながら成長した。それが間違った優しさであることに薄々気づいているが…。
喫茶店経営がうまくいかず、なぜかポエムと一緒にお父さんの家に居候し、家事を担当。
ケイタ/駒田さん…お父さんの実の息子でヨシミの兄。
ヨシミに危害を加えた(と思われる)男たちを相手に傷害事件を起こし服役中。
もとはミュージカル役者。いつか罪を償って、世の中に二度とこんな事件が起きないよう訴えるミュージカルを作りたいと刑務所からお父さんに手紙を送る。
ヨシミ/お父さんの娘でポエムの妻。お茶の間に写真のみ飾られている。
詳細不明だが、自分が事件に巻き込まれたことが原因で兄が刑務所に入ったことを気に病み自殺したらしい。
お母さん/井上珠美さん(二役)…時にはエイジの産みの母として夢(?)に現れ、時にはお父さんの亡くなった妻としてお父さんに語りかけ、都度素晴らしい歌声を披露する。
今回の脚本はホームコメディ仕立て。
お茶の間を舞台に進みます…が、人物紹介を読んでいただけるとお分かりの通り、意外と各自の背景や設定は暗く重いのです。どこかで「なーんちゃって!」的などんでん返しもありません。
とはいえそこはやっぱりMHK!笑いと笑いと笑いの後にちょっとホロリ(?)とさせられる作品でした。
<ざっくりあらすじ>
身体はジャイアン中身はのび太みたいなポエムは、何もできない自分を自己肯定し続け社会の落ちこぼれのまま義理の父や兄に依存するだけで成長しません。
そして母に捨てられたトラウマから逃れられないエイジは、間違ったドラえもんのようにポエムを甘やかし続けることでしか自分の存在価値を実感できないのです。
そんな二人のダメダメ振りを歯がゆく思い叱咤しながらも、お父さんは彼らを案じています。ドタバタの日常の中に、二人への愛情が見え隠れ。
実の息子ケイタが、妹思いだった故に罪を犯したことを理解しながらも、きちんと罪を償ってこの家に戻ってくる日を待ちたい…そんな願いも空しく癌で余命三ヶ月を宣告されたお父さんは、自分の亡き後に備えて動き出します。
全く何の役にも立たないポエムに病院の付き添いや身の回りの世話をさせることで、日常生活を仕込みました。
そうやってポエムを連れ歩くことは、エイジに自分と向き合う一人の時間を与え、自分の人生について考えさせることにもなるのです。
そして服役中のケイタには自分の死期を伏せたまま面会を続け、ある日すっと消えるように静かにこの世を去りました。←ここは暗転のタイミングでお父さんが自分の遺影をセットして退場。照明がついたときには、ヨシミとお母さんの写真が飾ってあるクローゼットの上に、チラシと同じハゲチャビンのお父さんの写真がどーん!
え?お父さんもう死んじゃったんだ!という驚きと爆笑が!
…簡単にはしんみりさせてくれません。
最後にお父さんの遺影の裏から手紙が発見されます。(どうやって隠したんだ!)
お父さんがそれぞれの息子に残したメッセージは、「自分らしく当たり前に生きてゆけ」でした。
そう、ここでようやく行住坐臥に繋がりました。(正直、~行住坐臥II~はどこに絡むのかと…)
ポエムは小説家をあきらめて介護の仕事で自分を生かす道を考えることでしょう。
エイジはポエムの面倒を見ることを目的にするのではなく、自分のやりたいことを第一に考えるという新しい一歩を踏み出すでしょう。
そしてケイタは、自分の信じる役者の道を通して世の中に訴えたいことを発信していくのでしょう…という未来を予感させつつ、MHKの美しいハーモニー「行住坐臥」で幕を閉じました。
(以上のあらすじは演出上の都合ではなく私の独断と偏見で歪曲及びねつ造されている恐れがあります。)
なんだかあらすじでは「笑い」の部分をお伝えできておりませんが…
幸村さんのお父さんのビジュアルはあれ(畠中さんのフォトメッセージ参照)ですし、舞台にいるだけで笑ってしまいます。イケメンさんがそこまでやっちゃいますか!のなりきりっぷり。
畠中さんもおっしゃっていたように、皆さんで合わせる時間は少なかったんだと思うんですが、そこをカバーしてあんな楽しい作品になっていたのは、確かな個人技とチームワークの良さと、そして全員と絡む役で常にお茶の間の中心にいる幸村さんの熱演だったと思います!
現在公演中の駒田さんはカメオ出演なのかなあ、と思っていたのですが、驚きのフル生出演! 服役中という設定で他の人との絡みがあまりないのは、宮川さんの配慮ですよね。妹を想い、自分の罪を悔やむ歌声は切々としていて、パジャマにしか見えない囚人服を着ていても思わずグッと胸に迫るものがありました。
いつもより人数も多く、予定も合わず…の中、脚本や作曲を一手に引き受けている宮川さん。最後に「バカの役だとセリフ間違えてもなんとかなるねえ」とおっしゃったのが苦労を物語っていました…。
図々しい希望ですが、次回は是非また3人のコーラスで新曲をお願いします!
お母さん二役の井上さん!本当に素晴らしい歌声でした。畠中さんとのデュエットは鳥肌立っちゃいました。
そして畠中さん!二言目には「母さん、なぜ僕を置いて行ったの」と遠い目をする怖いほどのマザコン。設定が10代ならともかく、普通は思わず引きます。そもそも弟の嫁の実家に転がり込んでいる時点で相当ダメな人なんですけど…ところがこの少年時代の傷を抱えて大人になりきれていないところが…かわいいんです。表情のひとつひとつに捨てられた子犬のような寂しさが見えて、ある意味新鮮な畠中さんでした。
セリフは多いしソロもたっぷりあるし、井上さんとの素晴らしいデュエットといい…久々に舞台で畠中さんの美声を堪能しました! 特にデュエットは壮絶なぐらい歌詞が詰まってるんですよ。いつもながらさすがの完成度!でした。
ちなみに今回も「しわが多い」といじられて、「遺伝なんだよ!」と欽ちゃん飛び!かなりハイレベルな跳躍でした。
お芝居の後は、まずMHKの3人が登場して「BELIEVE」を歌い、「やれやれ、終わった~」という安堵もあらわに(笑)、簡単な苦労話など披露してくださいました。
駒田さんが公演中だったため、どんどん宮川さんと畠中さんのセリフが増えてしまい、大変なことになっていたようです。 (駒田さんは服役中と書いた段ボール箱を首から下げての登場だったので、おそらくそれがプロンプター替わりになっていたのかと想像します。)
幸村さんはハゲおやじルックからいつもの幸村さんに戻って登場。尊敬する先輩たちと一緒にやれて本当に楽しかった、と。(ギャラどころか参加費を取られたとぼやいてもいましたが)
今後の活動の告知タイムも一応あったんですが、放心状態の畠中さんは「座席にチラシ置いてありますのでよろしく」(「約束」「バクマツ。」)状態でした。
全員で「僕たちに今できること」のコーラスもありました。 是非「行住坐臥」と一緒にCD化していただきたいです!
(夜の部はおそらくもっとおしゃべりが弾んだことと思いますので、夜の部に参加された方はコメント欄か掲示板のほうに様子を書いていただけると嬉しいです。)
3回目のMHKも、本当に楽しかったです! 畠中さん、皆さん、お疲れ様でした!
次の機会が早く訪れることを祈りつつ、楽しみに待っています!
終演後にお見送りをしてくださった畠中さんです。
サイト掲載用に撮影させていただきました。 ありがとうございました!
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くるみ (土曜日, 01 6月 2013 12:04)
「MHKライブ」のご報告ありがとうございました!!!
私お昼の部観観劇予定だったのですが…、数日前から体調を崩してしまいまして行けませんでした…(泣泣泣)
ですので、chawanさんのあらすじ&配役&畠中さんのご様子と「PHOTO MESSAGE」の皆さんからの感想を熟読し、頭の中で想像(妄想?)観劇させていただきました。
あのタイトルから事前にストーリーを想像するのは困難でしたが、まさかこんなシリアスっぽいお話だったとはビックリ。
さすが「MHK」、読めない、奥が深いですねぇ。
だめんずな畠中さん観たかったー。
癒しの歌声聴きたかったー。
3人の掛け合い観たかったー。
「自分の馬鹿ーーーっ!」と思いながら過ごした1週間でしたが、畠中さんも次のお仕事に向かって走り始めていらっしゃるはず。
私も頭を切り替えて夏の舞台を楽しみに待ちたいと思ってます。
時節柄皆さまもお体には気を付けてくださいね。
みい (日曜日, 02 6月 2013 20:41)
chawanさん
ライブのご報告ありがとうございました。
私は、夜の部1回の観劇だったので、
報告を読みながら、
感動を思い出しておりました。
夜の部だけのハプニングを、思い出していたのですが、
お芝居が終わった後、3人で「BELIEVE」を歌った時に、最後の方に畠中さんのマイクのコードが、突然、抜けてしまいました
畠中さんも、すっごく驚かれて目をまん丸くされてました。
駒田さんが、近づいてきてくださって、
一緒のマイクで歌われてました。
マイクのコードは、すぐに畠中さんし差し込んでいました。
ハプニングではありましたが、
さらに、アットホームな雰囲気になってました